話法の転換 その3「話法の転換」は、もう分かってきましたね。今日、もう少しだけお勉強して、おしまいにしたいと思います。まずは超短い文から。 型どおりの例題:話法を変えてください。 He said to her, " Let's go." "Let's go." とか、"Let's dance."とか"Let's ~"(~しましょう)という文 は定番がありまして、suggest または propose を使って、 "suggest to ・・・ that ・・・[should] 原形 " という形になります。アメリカ英語は省略が好きなので、このshould が しばしばなくなり、いきなり原形動詞がすぐくることもあります。 従って、例題の答えは He suggested to her that they [should] go.(○) と、なります。型どおりですね。ちなみに、彼女に言った場合でなくて、 私に言った場合、つまり He said to me, "Let's go." だった場合なら どうでしょうか?同じ回答でOKでしょうか? He suggested to me that we [should] go. (○) と、they を we に変えなければいけませんね。「彼と私」を合わせれば we ですし、「彼と彼女」を合わせれば they ですから当然ですね。 話法というのは、繰り返しますが言葉の内容を別の表現でなるべく正 確に伝えるのがポイントですから、情景をイメージし、気持ちを込めないと こういう細かい点で間違えてしまいます。それでは最後の例題です。 最後の例題:話法を変えて表現してください。 1.She said, " I love him, but he doesn't love me at all." 2. I said to her, " You look pale. Have you seen the doctor?" 「私、彼のこと大好きなんだけど、彼は私のことちっとも愛してくれない。」 と彼女が言ったわけです。これの話法を変えなさいと言われたわけですが、 ある1点だけ気がついて欲しいのです。楽勝じゃんこんなの、と言って She said that she loved him but he did not love her at all. と書いてしまいがちなのですが、これでは×なのです。ただの×ではなく て、恋の可能性を無情に引き裂いてしまうような大きな×なのです(笑)。 1.の問題文は、真実はどうかわからないけれども彼女が、「彼のことを 好きなのだけれど、彼は私のこと全然好きじゃないみたい」という内容を 言ったのですが、書き換えたときにたった1語だけ、されど重要な1語を 抜かしてしまったために、 She said that she loved him (沈黙) but ・・・ と、ここで1回切れてしまうかもしれません。つまり「私は彼を愛してい るんだと彼女は言ったのに、しかし、しかし、彼は彼女のことなんか、ちっ とも愛していなかった」という悲劇になってしまうのです。 原文の意味にするためには、しっかり重要な1語 that を入れて、 She said that she loved him but that he did not love her at all.(○) と、 that を2度繰り返して書くことにより、まずは悲劇を避けられます(笑)。 くれぐれも物語を変えないために、quotation mark (引用符)の中が and とか、but あるいはピリオドで文章が切れている時には、 and that~ とか but that ~ のように2度目の that を忘れないようにして下さい。 次に、2.の解説ですが、"台詞 " の中に、"You look pale." とか、 "Have you seen the doctor?"の2種類の文章が出ています。そういう 場合は、and でつないでその後、動詞を出し惜しみしないで必要なだけ 使って、事実が伝わるようにしなければなりません。つまり I told her that she looked pale, and asked her if she had seen the doctor. (「顔色が悪いね、医者に診てもらったの?」と彼女に言った。) となります。「平叙文と疑問文」の2つなのだから、動詞も told と asked の2つ使いましょう。もし「命令文と疑問文」が組み合わさって、 She said to him, "Don't do that. Are you crazy?" とあったなら、 she told him not to do that and asked (him) if he was crazy. (「そんなことしちゃ駄目よ。あんた頭おかしいんじゃないの?」と 彼女は彼に向かって言った。 となります。 "told ・・・ to ~ and asked ・・・"のように tell, ask をちゃんと使って 繋ぐということです。 これで「話法の転換」のお話を終わりにしますが、言葉の入れ替えパズ ルではなく、ある事実を別の視点からできるだけ正しく伝える、という「気持 ち」を常において書き換えるようにしましょう。 |